腎臓病についての相談ができたり、治療が受けられる病院を、対応できる治療法などと一緒にご紹介します。ぜひご参考にしてください。

病院を受診される際は、事前に医療機関に連絡の上、内容をご確認ください。

東京都済生会中央病院

住所〒108-0073 東京都港区三田1-4-17
最寄駅田町
電話
03-3451-8211

※番号をタップしてかけられます。

ホームページ
http://www.saichu.jp/

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対応可能な治療

薬物治療
血液透析
腹膜透析
腎移植
透析患者収容可能人数

80人

腹膜透析の症例数

35人(2023年)

患者さんへ

急に悪くなった腎臓は早期治療により改善することが多くありますが、徐々に悪くなった腎臓は残念ながら現時点では著明に改善することは難しく、進行抑制が主体となります。そのため腎臓病は悪くなる前の早期からの適切な治療介入が重要となります。腎臓が悪くなると他の臓器が悪くなり、他の臓器が悪くなると腎臓が悪くなるというように、腎臓は多くの臓器と密接に関連しています。腎臓を守ることにより全身を守ることを心掛けて診療いたします。

キド兄さん独自取材
慢性腎臓病の予防と治療選択について
東京都済生会中央病院
腎臓内科 医長
小松 素明 先生

まえがき

済生会中央病院の小松先生に慢性腎臓病の予防と治療選択についてお話を伺いました。

かかりつけ医を持ち、定期的に検診を受けることの大切さ、検診により腎臓病を進行させる前に見つけて治療を開始することの重要性、そして様々な腎代替療法を事前に把握する必要性についてのお話です。

慢性腎臓病の予防と定期健診が重要

慢性腎臓病の初期段階では特有の症状がないため、毎日の健康チェックや定期健診が非常に重要です。

歳を重ねると腎臓機能が低下することは確実ですが、腎臓は予備能力が高く、腎臓の機能が30%切らないと症状が出てこないことがほとんどです。

症状が出て初めて治療を考えるより、人生100年時代を迎える中で100歳まで元気に生きるためには腎臓をなるべく悪くしないことが大切です。

そのためには会社や地域の定期健診をきちんと受けることが大切です。尿検査はもちろん、血圧、血糖値、コレステロールなどの腎臓の機能に影響を与えるものを管理して、腎臓を悪くしないようにすることを目標とするべきです。また、日々の血圧や体重(特に体脂肪)のチェックも怠らないようにしましょう。定期健診で異常を指摘されたら放置せずに早めに医療機関に受診しましょう。早期発見、早期介入が重要です。

慢性腎臓病の予防のための食生活

1日1‐2リットルの水分摂取を勧めています。最も重要なのは塩分制限です。患者さんが自分なりに注意しているつもりでも、水分摂取や塩分制限が不十分であったり、サプリメントなど、腎臓にとっては摂取しすぎるとかえって良くないものもありますし、服薬など個々の状況に応じた専門的な視点からアドバイスを受けることが大切です。

かかりつけ医を持つことの重要性

現在診療していて、かかりつけ医を持っている方はそこまで多くはない印象ですが、かかりつけ医を持ち、定期的に検診を受けることが慢性腎臓病の予防に非常に重要です。今の医学で分かっていること・分かっていないことを元にちゃんと意見を言ってくれる医師を見つけることが大切です。すべての疾患について詳しく、何から何まで100%知っているという医者はいませんので、知識が最新のものにアップデートされており、どこまでが分かっていることかをしっかり説明し、分からないことははっきりと分からないと伝え、専門病院に紹介してくれる医師を選びましょう。

慢性腎臓病については、様々治療方法を知っており、それをフラットに説明してくれる腎臓専門の医師に相談することが大切です。10年、20年、長い期間付き合うつもりで診療してもらえる医師を選び、普段他の疾患も診てもらえるようなかかりつけ医で診てもらいつつ、半年や1年に1回腎臓内科の先生にチェックしてもらうダブル主治医のような形で、定期的にチェックを受けましょう。

→腎代替療法?の選び方

腎代替療法には様々な治療方法がありますが、すべての治療を行える病院は限られています。施設に揃っている設備や医師の経験により、提供できる治療が異なることがあります。私の施設では患者さんには全ての選択肢を提示し、患者さんにとってベストな治療法を進めていく方針ですが、腎移植を当院で行うことはできないため、その場合は連携している腎移植が可能な病院を紹介します。

何が患者さんにとって良いかを考え、共に最適な治療方法を選択していく「Shared Decision Making」という言葉が最近ありますが、医師が提示する選択肢を元に患者さんの生活や社会環境を考慮して、患者さんと一緒に決めて頂くことが大切です。

また一つの治療法に決めたらそれで終わりというわけではなく、腹膜透析から始めて血液透析、腎移植をした後にまた腎機能が下がった場合は再度透析などということもありますので、早めからよく色々な治療法について勉強する必要があります。

腹膜透析について

腹膜透析は、残った腎臓機能の補完をする形であり、1日に必要な透析回数も初めは1日2回くらいで開始することが多いです。夜間に機械で自動的に透析液を交換する方法(APD:Automated peritoneal dialysis)もあります。「PD(腹膜透析)ファースト」と言われ、問題が特になければ腹膜透析から始めるのが良いと思っています。ある程度の自己管理が求められるため、そこにハードルを感じる患者さんもいますが、私の病院では透析の方法を決める前に、実際に透析の器具を見ながら出来そうかどうかを確かめてもらってから選んでもらいます。仕事をしている若い方は血液透析の週3回4時間の拘束は難しいこともあり、腹膜透析をお勧めしています。ただし、体格がとても大きい方は腹膜透析だけで行うことは難しいこともあり、その場合は週1回の血液透析、週5~6日の腹膜透析という併用療法を行う場合もあります。ご高齢で血液透析に頻回に通うのが大変な方にも腹膜透析をお勧めしています。腹膜透析の方が海外旅行にも行きやすいと思います。

済生会中央病院の特徴

私たちの治療方針としては、腎臓病になってから治療というのはもちろん、腎臓病にならないように積極的に治療し、なるべく悪化しないような治療を行っています。院内の他科とも連携し、腎臓はもちろんのこと、心臓や血管などの全身の病気を悪化させないことを念頭に治療しています。

患者さんとしては医師に聞き辛い、または遠慮してしまうこともある場合は、腎代替療法支援選択外来、透析予防外来というのが当院にはあり、腎臓病の治療に関する選択肢について看護師や他の医療スタッフと相談し、患者さんが安心して質問できる環境を整えております。

腎臓病について知っておきたいこと

このサイトをご覧の皆様へ。このページでは都道府県別に腎臓病についての相談ができたり、治療が受けられる病院やクリニックの情報を、対応できる治療法などと一緒にわかりやすくご紹介します。病院選びの際に事前に知っておきたい腎臓病についてご紹介します。

腎臓の働き

腎臓は、体内の老廃物や余分な水分を尿として排出する役割を持つ非常に重要な臓器です。背中側の左右の腰のあたりにひとつずつ(合計2つ)存在しており、1日に約180リットルの血液をろ過し、そのうち約1.5リットルの老廃物や余分な水分を尿として排出します。また、腎臓は血圧の調整や電解質バランスの維持、赤血球の生成促進など、全身の健康維持にも欠かせない、様々な役割を担っています。腎臓の働きが正常であることで、体内の環境が適切に保たれ、全身の健康を維持することができるのです。腎臓の健康を守ることが、より健康的な生活を実現するためには非常に重要です。

腎臓病の基本

腎臓病は、腎臓の機能が低下することで、体内の老廃物や余分な水分が排出されにくくなる病気の総称です。特に、近年注目を集めているのが、慢性腎臓病(CKD)と呼ばれる病気です。CKDは、糖尿病や高血圧などの生活習慣病を始め、様々な要因によって発症する可能性があり、長期間にわたって腎機能が徐々に低下していく腎臓の病気です。また、病状が進行するまで自覚症状がほとんどないという特徴があり、診断時には病態が進行してしまっているという患者さんも少なくありません。だからこそ、症状が出る前に腎機能の低下を発見することが非常に重要であり、そのためには、定期的な健康診断を受けることが欠かせません。定期検診を心がけ、腎臓病を早期に発見して、必要に応じて適切な治療を行うことで、腎機能の低下を防ぐことができます。

腎臓病は早期発見が大切な理由

腎臓病(特にCKD)は、初期段階では自覚症状がなく、患者さん自身が気づかないうちに進行してしまっているというケースも少なくありません。さらに、病状が進行してしまってからでは、治療が難しくなる場合もあるため、早期発見と早期治療が非常に重要です。

腎機能の低下を早期に発見し、適切な治療を開始することができれば、腎機能の低下を遅らせたり、健康的な生活をより長く維持することが可能になります。

意識的に定期検診や血液検査、尿検査を受け、腎機能の状態を適宜チェックし、腎機能の低下を早期に発見できるようにしておきましょう。特に、高血圧や糖尿病などの生活習慣を抱えている方、何らかの基礎疾患があるという方は、より頻回な検査がおすすめです。

「症状がなくても検査を受ける」ということを意識して、腎臓の健康を、そして全身の健康を守っていきましょう。

CKDのハイリスクとなる基礎疾患

慢性腎臓病(CKD)は、特定の基礎疾患を持つ方の発症リスクが高くなることが知られています。基礎疾患があると、腎臓に直接的なダメージを与えたり、間接的に腎機能に負担をかけることで、CKDの進行を促進する要因のひとつになります。

特に、糖尿病や高血圧などの生活習慣病は、腎機能を低下させる重要な原因となる可能性があります。

生活習慣の乱れが生活習慣病を引き起こし、その生活習慣病が腎機能を低下させる要因となる可能性があります。このような疾患の連鎖が、全身に様々な症状を引き起こす引き金となります。

生活習慣病もCKDも、初期症状はほとんどありません。だからこそ、症状がなくても、定期的にクリニック(病院)を受診し、適切な検査を受け、全身の状態を細かくチェックしていくことが重要です。

以下に、CKDのハイリスクとなる生活習慣病の一部を紹介します。

ここで紹介する病気だけではなく、何らかの基礎疾患をもっているという方は、より意識的に定期的な受診を心がけるようにしましょう。

糖尿病

糖尿病(血糖値が高くなる病気)は、CKDの最も一般的な原因のひとつです。血糖値が長期間にわたって高い状態が続くと、腎臓の細かい血管がダメージを受け、腎機能が徐々に低下してしまいます。この状態は「糖尿病性腎症」と呼ばれ、糖尿病の三大合併症のひとつになっています。だからこそ、糖尿病性腎症の進行を防ぐためには、糖尿病そのものの管理(血糖値の管理)が重要であり、糖尿病の方こそ、定期的な腎機能検査が大切となります。

高血圧

高血圧(血圧が高くなる病気)はCKDの大きなリスク因子です。高血圧が続くと、腎臓の細かい血管に負担がかかり、血管がダメージを受けやすくなります。高血圧によって、腎臓の機能が影響を受け、結果的にCKDの進行も加速していきます。また、CKDが進行すると、高血圧がさらに悪化するという悪循環に陥ることもあり、それぞれの疾患のコントロールが非常に重要となります。

高尿酸血症

高尿酸血症は、血液中の尿酸(尿酸値)が高くなる状態であり、高尿酸血症になると、腎臓の尿細管に結晶が形成されやすく、腎機能の低下リスクを高めることが知られています。血液中の尿酸値が過剰になると、腎臓の尿細管に結晶(尿酸の塊)が形成され、腎機能を低下させるリスクが高まります。また、微細な尿酸の塊が腎臓の血管にダメージを与えることで、腎機能の低下を促進させてしまう可能性があります。だからこそ、高尿酸血症の管理は、CKDの予防において非常に重要です。適切な食事療法や薬物療法によって、尿酸値をコントロールし、腎臓への負担を軽減することが大切です。

これらの基礎疾患を持つ方は、特に注意して定期的な受診や検診をするようにしましょう。医師の指示を守って、生活習慣の改善や適切な治療を行うことが、CKDの発症予防と進行抑制に繋がります。食生活や運動、ストレスを溜めない生活など、日々の健康管理を徹底し、腎臓の健康を守るための取り組みを続けましょう。

腎臓病に関するよくあるご質問

慢性腎臓病(CKD)って?

慢性腎臓病(CKD)は、腎機能が徐々に低下する慢性かつ進行性の病気です。CKDの主な原因としては、糖尿病や高血圧などの生活習慣病が挙げられます。生活習慣病が腎臓の血管にダメージを与え、それがCKDの発症に繋がっていきます。CKDは、初期段階では自覚症状に乏しい場合がありますが、進行すると腎不全に至り、最終的には透析や腎移植が必要になる可能性もあります。そのため、早期発見と適切な管理が不可欠です。CKDは定期的な検査を受けることで早期に発見できるため、リスクが高い方はもちろん、健康で症状がないという方も、定期的な検診を心がけるようにしましょう。

慢性腎臓病(CKD)の薬物治療の基本

CKDの薬物治療の基本は、腎機能の維持と進行を遅らせることを目標としています。そのため、基礎疾患の管理や腎臓の負担軽減だけでなく、場合によっては腎機能を改善するための薬物療法も用いられます。具体的には、適切な降圧薬の使用(高血圧の治療)や、糖尿病の治療、コレステロールを下げる薬なども併用されることがあります。医師の指示に従い、継続的に薬を服用することで、CKDの進行を抑制することができます。

血液透析って何をするの?

血液透析は、腎不全など、腎臓の機能がほぼ失われた場合に行われる治療法です。特殊な医療機器を用いて、患者さんの血液を体外に取り出し、専用の透析装置を通して老廃物や余分な水分を除去し、きれいになった血液を体内に戻します。通常、週に数回の透析が必要であり、患者さんは透析センターに定期的に通院する必要があります。

腹膜透析って何?

腹膜透析は、腎臓の代わりに、お腹の中にある腹膜(ふくまく)を使って血液をろ過する方法です。専用の透析液を腹腔内に注入し、その透析液が体内の老廃物や余分な水分を吸収します。一定時間が経過した後、その液体を体外に排出することで、血液が浄化されます。腹膜透析は、自宅で行うことができる透析方法ですが、その分、専門的なケアや管理が必要になるため、患者さんのライフスタイルなどに合わせて、最適な透析方法を選択していくことが重要です。

健康管理をしっかりしましょう

腎臓病の予防には、日々の健康管理が極めて重要です。

また、定期的な検査や検診を行うことで、腎機能低下を早期に発見できる可能性がありますので、特に、生活習慣病などの基礎疾患があるという方は、後回しにせず、しっかりと定期検診を実施するようにしましょう。

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