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コラム

【食事・運動】腎臓をケアする生活習慣のポイントを解説します!

2024/7/8

腎臓は体内の老廃物を排出し、血液をろ過する働きを持つ重要な臓器です。さらに、血圧や水分のバランスを調整するなど、全身の健康にも重要な役割を担っています。そんな腎臓の健康を保つためには、日常生活における生活習慣(食事や運動など)がとても大切です。そこで本記事では、腎臓の健康を保つための具体的な生活習慣のポイントを解説します。バランスの取れた食事、適度な運動、ストレス管理など、腎臓の機能を支える生活習慣をご紹介します。本記事をご覧いただき、ぜひ今日から、腎臓にやさしい生活習慣を取り入れてみて下さい。

腎臓の役割と重要性

腎臓は体内の老廃物をろ過して、血液を浄化するような役割をもつ重要な臓器です。1日に約150〜200リットルの血液をろ過し、老廃物や余分な水分を尿として排出するといわれています。また、腎臓は体内の水分や電解質のバランスを保つ役割も担っています。例えば、ナトリウムやカリウムの濃度を調整し、血圧のバランスを維持したり、全身の生理機能を正常に保つ働きをしています。さらに、腎臓はホルモンを生成し、赤血球の生成を促進するエリスロポエチンや、骨の健康を保つためのビタミンDの活性化など、全身の健康に重要な役割を果たしています。

参考:“1.腎臓の構造と働き-一般のみなさまへ-”. 一般社団法人 日本腎臓学会. https://jsn.or.jp/general/kidneydisease/symptoms01.php ,(参照2024-06-25)

慢性腎臓病(CKD:しーけーでぃー)とは?

腎臓の機能は「尿を作る」というだけではなく、血圧や浸透圧の調整、赤血球の生成や体内の毒素の排泄など、全身に大きな影響を及ぼしています。そのため、腎臓が健康であることは、全身の健康に直結しているといっても過言ではありません。逆に腎臓の機能が低下すると、体内の老廃物が蓄積し、全身にさまざまなトラブルが出現する可能性があります。腎臓の機能が徐々に低下していく病気(疾患)のひとつが、慢性腎臓病(CKD)です。なんらかの原因(原因は様々)によって腎臓の機能が低下し、ゆっくりとした経過で腎臓の健康が悪化していくのがCKDの特徴です。しかし、CKDは初期症状がないため、早い段階でCKDの進行を防止するためには、定期的な健康診断や検査によって、腎機能の低下を早期に発見し、早期に治療を開始する必要があります。また、CKDの発症を未然防止し、腎臓の健康を維持するためには、毎日の生活習慣の見直しが欠かせません。

腎臓に良い食事習慣

腎臓の健康を維持するためには、毎日の生活習慣を健康的にすることが大切です。まずは、腎臓に良いといわれる食事習慣を紹介します。

  • バランスの取れた食事
  • ビタミン・ミネラルの補充
  • 塩分摂取量に注意

これらのポイントをひとつひとつ詳しく解説します。

バランスの取れた食事の重要性

腎臓をケアするためには、栄養バランスの取れた食事が欠かせません。既に腎臓病を患っている患者さんだけではなく、腎臓病のリスクがある方や、基礎疾患(高血圧や糖尿病など)のある方にとっては、食事管理が重要な「治療」のひとつとなります。食事療法とも言われています。 食事療法を行うことにより、腎機能障害の進行を抑え、慢性腎臓病の合併症を予防します。バランスの取れた食事は、腎臓の負担を軽減し、全身の健康を保つために必要不可欠なのです。

特に食事において注意すべき点としては、適切なカロリー摂取と、塩分やタンパク質、カリウム、リンなどの栄養素(成分)の管理です。過剰な塩分摂取は血圧を上昇させ、腎臓に負担をかけてしまう可能性もありますので、医師や栄養士の指導のもとで1日の塩分摂取量を決めるなど、適切な塩分摂取を心がけることが大切です。また、過剰なタンパク質摂取は腎臓の負担となります。高タンパクを摂取する「タンパク質ダイエット(糖質・脂質制限)」なども流行していますが、無理なタンパク質の摂取は、腎臓に悪影響を及ぼしてしまう可能性があることを知っておくことも大切です。

腎臓の健康をサポートしてくれる食材は?

腎臓の機能を維持するためには、塩分やタンパク質の過剰摂取に注意が必要です。一方、日々の食生活に積極的に取り入れておきたい、「腎臓の機能をサポートしてくれる栄養素」も存在します。例えば、野菜や果物はビタミンやミネラルが豊富であり、補助的に腎臓の健康を支えてくれる可能性があります。しかし、腎臓の機能が低下すると、野菜や果物に含まれるカリウムは、腎臓からのカリウムの排泄が少なくなり、体に溜まってしまいます。カリウムが溜まってしまうと、突然死の原因となる不整脈を引き起こす可能性があります。腎臓病が進行している患者さんは、医師に野菜や果物の食事量を確認してみてもいいかもしれません。ビタミンやミネラルは腎機能の保護に重要な栄養素ではありますが、ビタミンを摂取するために過剰に果物を摂取するということのないように、「何事もバランスが大切」ということを心がけておきましょう。

腎臓に悪影響がある食べ物は?

腎臓の健康を維持するためには、特に、塩分の多い食品(加工食品、インスタント食品、スナック菓子など)に注意が必要です。また、高脂肪の食事や糖分の多い食品(揚げ物、菓子類、炭酸飲料など)も、糖尿病や高血圧などの生活習慣病の原因となりやすく、結果的に腎臓にダメージを与えてしまう可能性があります。塩分や糖分の多い食事は「美味しい」と感じやすく、ついつい食べてしまうという方も少なくありませんが、腎臓の機能や全身の健康を維持するためにも、より健康的な食生活を意識することが重要です。

運動が腎臓に与える影響

食生活だけではなく、運動習慣が腎臓の機能に与える影響も知られています。運動によって新陳代謝が活性化され、直接的に腎臓の健康を維持するだけではなく、適切な運動は、生活習慣病やメタボリックシンドロームを予防することに繋がり、それが腎臓の健康にも良い影響を与えてくれます。日常生活の中で体を動かす習慣がないという方は、腎臓をサポートするためにも、ぜひこの機会に運動習慣を取り入れてみましょう。

適度な運動の重要性

「適度な運動」は、腎臓の健康維持に欠かせない要素です。運動は血液循環を促進し、新陳代謝を向上させることで、全身の健康をサポートしてくれます。肥満を防ぎ、糖尿病や高血圧などの腎臓病リスクを減少させる効果も期待できますので、毎日の生活の中に運動習慣を取り入れることはとても大切です。ここでポイントとなるのが、「適度な運動」であるということです。激しい運動や強度の高い負荷をかける必要はなく、「体を動かす」程度の習慣作りが、腎臓や全身の健康維持には欠かせません。

腎臓の健康に良い運動の種類

腎臓の健康を維持するためには、「適度な運動」、特に有酸素運動が推奨されます。ウォーキング、ジョギング、サイクリング、スイミングなどの運動は、血液循環を改善しながら、全身の健康増進効果が期待できます。また、ストレッチやヨガなどの柔軟性を高める運動もおすすめです。ラジオ体操などの習慣を作ることも良いかもしれません。腎臓の健康を維持するためには、無理な運動をする必要はなく、毎日「体を動かす」ということを意識することが重要です。

運動の際の注意点

繰り返しになりますが、運動を行う際には、過度な負荷をかけないことが重要です。特に、腎臓病を患っている患者さん(腎機能が低下している方)は、無理な運動は避け、医師の指導のもとで適切な運動を行うことが重要です。運動中に汗をかくことで水分が失われるため、脱水を防ぐことが大切となりますが、水分制限や塩分制限などもありますので、必ず医師の指導のもとで運動を行なうようにしてください。医師や理学療法士などと相談しながら、自分にとって最適な運動を見つけていきましょう。

ストレス管理と腎臓の健康

ストレスは腎臓の健康にも影響を与えることが知られています。慢性的なストレスは、血圧を上昇させ、腎臓に負担をかける要因となります。また、ストレスホルモンであるコルチゾールが過剰に分泌されることで、腎臓の働きに悪影響が出現する可能性もあります。そのため、腎臓の機能を保つためには、ストレスの管理がとても重要な要素となります。

効果的なストレス管理法とは?

ストレス管理の方法としては、リラクゼーションや趣味の活動、十分な休息などが挙げられます。深呼吸や瞑想、マインドフルネスなどのリラクゼーション法を毎日の習慣に取り入れるなど、自分なりのストレス管理法(ストレス緩和法)を見つけることが大切です。例えば、朝起きたら瞑想をして、その後軽いストレッチやラジオ体操をするといった、ルーティン(決まった行動)を作ることで、運動をしながら、ストレス解消ができるかもしれません。

腎臓のケアには生活習慣の見直しが欠かせません

腎臓の健康を維持するためには、ライフスタイルの見直しも重要です。例えば、喫煙は血管を収縮させ、血液循環を悪化させるため、腎臓に悪影響を及ぼすことが分かっていますので、腎機能低下を防ぐためにも、禁煙は非常に重要な取り組みのひとつとなります。このように、食事、運動、ストレス管理、禁煙など、毎日の習慣やライフスタイルを見直すことが、腎臓の機能低下を防ぐことに直結します。

腎臓病は「生活習慣病」とも言われる病気のひとつです。つまり、高血圧や糖尿病と同じ様に、毎日の生活が病気の発症に影響を与えるということです。生活習慣の見直しを行って、より長く腎臓や全身の健康を維持できるようにしましょう。また、腎臓の健康を維持するためには、定期的な健康診断も欠かせません。特に高血圧や糖尿病、家族に腎臓病の既往がある場合は、定期的に腎機能の検査を受けることが重要です。腎臓病(特にCKD)は初期症状がないからこそ、定期的な検査をして早期発見と早期対策を行なうことが、腎臓病の進行を防ぐために有効です。

理想的な食事、適度な運動、ストレスの管理など、より良い生活習慣を少しずつ日常生活に取り入れることで、腎臓の健康を守ることが可能です。できることから一歩一歩はじめていきましょう。

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