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【腎臓が悪くなる原因】日常生活での注意点と予防方法をわかりやすく解説

2024/12/27

腎臓病とは、腎臓の機能が低下した(低下する)病気の総称です。腎臓の機能が低下する原因には様々なものがありますが、毎日の生活習慣が腎機能に影響を及ぼす可能性もあります。

特に、慢性腎臓病(CKD)とよばれるタイプの腎臓病では、高血圧や糖尿病などの生活習慣病と深い関係があります。そこで今回は、腎臓の機能や腎臓病の病態などを分かりやすく解説しながら、腎臓が悪くなる原因について詳しく紹介します。

参考:エビデンスに基づくCKD診療ガイドライン2023(日本腎臓学会)

腎臓の役割と重要性

腎臓は、そら豆のような形をした「こぶし大」の臓器で、腰の上に左右ひとつずつ(合計2つ)存在しており、私たちの体内で非常に重要な役割を果たしています。

腎臓は、体内の老廃物をろ過し尿として排出するだけでなく、水分や電解質のバランスを維持し、血圧調節やエリスロポエチンなどのホルモンの生成に関与するなど、多くの重要な機能を果たしています。腎臓の正常な機能は、全身の健康維持に直結しています。

腎臓の基本的な機能

腎臓は1日に約180リットルの血液をろ過するだけではなく、必要な栄養素を再吸収し、不要な物質を尿として体外に排出する働きをしています。

再吸収とは、体内に必要な成分を再び取り込む作用であり、エネルギーなどをより効率的に使用することが可能になります。このような腎臓の働きによって、体内に毒素や不要な老廃物が蓄積するのを防ぎ、人体の正常な機能を維持しています。

また、腎臓はエリスロポエチンというホルモンの生成にも関与しており、エリスロポエチンが赤血球の生成を促進します。そのため、腎臓の機能が低下すると貧血のような症状が出現する場合があり、これを腎性貧血と呼びます。

腎臓が悪くなるとどうなるのか?

腎臓の機能が低下すると、体内の老廃物や余分な水分が適切に排出されなくなり、体内に蓄積するようになります。

これにより、むくみや疲労感などの症状の他、高血圧や心臓への負担が増加するなど、全身に様々な合併症が出現します。さらに腎機能の低下が進行すると、最終的には腎不全(腎臓が機能しなくなる状態)に至り、透析や腎移植が必要となることもあります。

腎機能の低下は全身の健康に重大な影響を及ぼすため、早期発見と適切な対応が重要になります。しかし、腎機能低下に伴う初期症状がなく、自覚症状が出現した時には、すでに病状が進行してしまっているという場合も少なくありません。

だからこそ、腎機能低下を早期に発見するためには、定期的な健康診断やかかりつけ医での検査が重要となります。

腎臓病の種類

腎臓病とは、様々な理由によって腎機能が低下した状態の総称です。腎臓病には、慢性腎臓病(CKD)と急性腎障害(AKI)という2つのタイプがあり、それぞれに特徴が異なります。どちらも腎臓の機能に大きな影響を与える重要な疾患ですので、原因や状態に応じて適切に対応する必要があります。

慢性腎臓病(CKD)

慢性腎臓病(CKD)は、腎臓の機能が徐々に(慢性的)に低下するタイプの腎臓病です。

CKDの主な原因は、高血圧や糖尿病、生活習慣病であり、これらの疾患が腎臓の血管にダメージを与え、腎機能の低下を引き起こします。CKDは時間をかけて進行していき、最終的には腎不全に至る可能性もありますので、できるだけ早い段階から適切な治療を行い、腎機能低下を予防していくことが重要です。

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急性腎障害(AKI)

急性腎障害(AKI)は、その名の通り、腎臓の機能が短期間で急激に低下する状態です。

AKIは、重篤な感染症や薬物中毒、大量出血などが原因となって出現する可能性があります。大きな手術などもAKI発症の引き金となることがありますので、術後の腎機能チェックは欠かせません。

AKIは急激に腎機能が悪化するため、迅速な対応が必要になるとともに、感染症などの腎臓に悪影響を与える要因を適切に取り除くことが大切です。

CKD:腎臓が悪くなる主な原因

慢性腎臓病(CKD)の主な原因は生活習慣病であり、高血圧、糖尿病、肥満、喫煙などがリスク因子とされています。

毎日の食事や運動、ストレスなどが積み重なって、腎臓の機能に影響を及ぼします。特に、高血圧や糖尿病などの生活習慣病が腎臓に与える影響は非常に大きく、早期の管理と予防が重要になります。

高血圧

高血圧は、血圧の高い状態が続くという疾患です。

慢性的に血圧が高い状態が継続すると、腎臓の細かい血管がダメージを受けてしまい、腎臓のろ過機能が低下し、CKDの発症リスクを高めます。そのため、高血圧(血圧)の管理は、腎臓の健康維持において非常に重要となります。

糖尿病

血糖値の管理が不十分な場合、腎臓の細かい血管がダメージを受けてしまい、CKD発症の要因となります。

糖尿病によって腎機能が低下した状態を「糖尿病性腎症」と呼び、糖尿病の3大合併症のひとつとなっています。糖尿病の予防と管理には、バランスの取れた食事と定期的な運動が重要であり、生活習慣の改善が腎機能にも良い影響を与えます。

AKI:腎臓が悪くなる主な原因

急性腎障害(AKI)の主な原因には、感染症や薬物中毒、出血などがあります。

腎臓そのものに原因があるケースはもちろん、尿路(尿の通り道)の閉塞や心臓疾患など、腎臓以外の機能に原因がある場合でも、腎機能が低下する可能性があります。AKIは迅速な対応を求められる疾患のひとつですので、専門的な治療が必要になります。

感染症

重篤な感染症は、腎臓に直接的なダメージを与え、急性腎障害(AKI)を引き起こすことがあります。

特に敗血症(血液中に細菌が繁殖する状態)や重度の尿路感染症は、腎臓の機能を急速に低下させる可能性があります。感染症に対する適切かつ迅速な治療が必要になります。

早期発見と早期治療で腎臓の健康を守りましょう

腎臓の健康を守るためには、毎日の生活習慣の改善が欠かせません。

バランスの取れた食事、適度な運動、十分な水分補給、ストレス管理を心掛けることはもちろん、定期的な健康診断を受けることで、腎機能低下を早期に見つけることが大切です。

定期的な健康診断を受け、異常が見つかった場合には、早めに治療を開始することで、腎臓の機能低下を未然に防ぎ、それが全身の健康を維持することに繋がります。

薬物療法などの専門的な治療だけが「腎臓病の治療」ではありません。毎日の食事を見直すこと、少しずつ体を動かす習慣を作ること、禁煙をすること、肥満を解消することなど、生活習慣の改善も大切な「治療」です。

また、腎機能の低下を予防するためには、高血圧や糖尿病などの管理も欠かせません。

CKDだけではなく、高血圧も糖尿病も自覚症状に乏しい(症状が出にくい)疾患ですが、症状がないからといって放置してはいけません。医師の指示を守って、しっかりと治療を行なうようにしましょう。

腎臓の健康を保つためには、早期発見と早期治療が重要です。定期的な健康診断を受け、腎臓の健康を、そして全身の健康を維持するようにしましょう。

腎臓に悪影響を与えるその他の要因

腎臓に悪影響を与える要因は多岐にわたります。例えば、薬物や毒素は腎臓にダメージを与える可能性があります。毎日服用している薬(医薬品)によって腎機能が低下する可能性もありますので、必ず医師の指示を守って、用法用量に注意して使用することが大切です。

また、一部の遺伝的要因も腎臓病のリスクとなる可能性があります。さらに、脱水(脱水症状)は腎臓に大きな負担をかけてしまう状態です。体内の水分が不足すると、腎臓のろ過機能が低下し、急性腎障害(AKI)のリスクが高まります。脱水症状でも腎臓がダメージを受ける可能性があるということを知っておきましょう。

生活習慣が腎臓に与える影響

腎臓の健康を維持するためには生活習慣の改善が重要です。食生活や運動習慣、ストレスの管理はもちろん、喫煙や過度なアルコール摂取なども腎機能に影響を与える原因となります。日々の生活習慣を見直し、腎臓の健康を守る生活を意識しましょう。

塩分の多い食生活に注意

塩分の過剰摂取は高血圧を引き起こし、腎臓の負担を大きくする可能性があります。過剰な塩分摂取は、腎臓への直接的な影響だけではなく、高血圧の要因にもなりますので、適切な塩分量を意識した食生活を心がけることが重要です。医師や栄養士の指導のもと、毎日の食事や味付けを見直してみましょう。

運動不足と肥満

運動不足は、肥満や糖尿病、高血圧を引き起こし、腎臓に悪影響を与えます。ウォーキングやジョギングなどの有酸素運動を日常生活に取り入れるようにしましょう。

しかし、急に無理な運動をすることで、体への負担が大きくなってしまったり、膝や腰などにも負荷がかかる可能性があります。必ず医師と相談の上、少しずつ体を動かしていくことがおすすめです。また、炎天下や気温の高い日の運動は、脱水症状や熱中症などのリスクもあります。

ウォーキングなどを行なう際には、早朝や夕方など、負担の少ない時間を選ぶことも大切です。

喫煙とアルコール

喫煙は末梢血管を収縮させることにより、腎臓への血流を減少させることで腎機能低下を誘発する可能性があります。また、アルコールの過剰摂取も腎臓に負担をかける可能性があります。

喫煙や過度なアルコール摂取は、腎臓への影響だけではなく、血圧や肥満、全身への影響も大きいため、控えることが推奨されます。

早期発見と早期治療で腎臓の健康を守りましょう

腎臓の健康を守るためには、毎日の生活習慣の改善が欠かせません。バランスの取れた食事、適度な運動、十分な水分補給、ストレス管理を心掛けることはもちろん、定期的な健康診断を受けることで、腎機能低下を早期に見つけることが大切です。

定期的な健康診断を受け、異常が見つかった場合には、早めに治療を開始することで、腎臓の機能低下を未然に防ぎ、それが全身の健康を維持することに繋がります。

薬物療法などの専門的な治療だけが「腎臓病の治療」ではありません。毎日の食事を見直すこと、少しずつ体を動かす習慣を作ること、禁煙をすること、肥満を解消することなど、生活習慣の改善も大切な「治療」です。

また、腎機能の低下を予防するためには、高血圧や糖尿病などの管理も欠かせません。CKDだけではなく、高血圧も糖尿病も自覚症状に乏しい(症状が出にくい)疾患ですが、症状がないからといって放置してはいけません。医師の指示を守って、しっかりと治療を行なうようにしましょう。

腎臓の健康を保つためには、早期発見と早期治療が重要です。定期的な健康診断を受け、腎臓の健康を、そして全身の健康を維持するようにしましょう。

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